ギャラリー解説

工藝

泥土加彩蝉(民國時代)

高さ・・1.4cm、縦・・6.5cm、横・・3.1cm

泥土をただ固めて着色した蝉であり、

水分を加えると跡形もなく熔けて赤土

に変わってしまうが、現状では硬い蝉

である。一体何の目的で作られたか

不明であるが、恐らく明器の一種であ

ろう。古来中国では、死者の魔除けと

蘇りを兼ねて、死者の口に玉の蝉を

含ませ、それを含蝉と呼んでいる。し

かし、全ての身分の人が玉蝉を使っ

た訳ではない。以前、台湾の葬儀祭

品店で、紙銭等と共に紙の蝉を見か

けた事が有る。店主の話では「死者

と共に埋める」との事であったが、玉

蝉以外に時代が下ると紙蝉が登場す

る以上、その間に石蝉・陶蝉・木蝉・

泥(土)蝉等が有っても不思議では無

い。とすれば本品は、民国時代(顔料

と紋様から判断)の泥蝉ではと、推測

されるが、博雅の士の教えを切に請

う所以である。


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