〜自印本〜

続編13

 自印本とは、公的機関や書肆が刊行するのではなく、個人が刊行する本のことで、この点に関する限りは家刻本や家塾本(家刻本の項をご参照下さい)と同じことであるが、大きく異なるのは、その人自身が著した書をその人自身が刊行する点である。他人が著した書を非営利を目的として個人が刊行するのを家刻本・家塾本と呼ぶのであって、決して自印本とは呼ばない。自印本とは、あくまで己自身が著した書をその人自身が刊行した本に対する呼称である。言うなれば、現在の自費出版本とでも言えるであろう。
ここに提示する自印本は、翁方綱の嘉慶8年序刊自印本の『蘇米齋蘭亭考』である。

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