〜紅色本〜

続編14

 紅色本とは、色刷り本(色刷り本の項をご参照下さい)のことに他ならず、その点では藍印本や朱刷り本と同様で、最初の校正用の試し刷り本に過ぎないのであるが、同じ試し刷り本であっても、藍印本が徐々に趣味的要素を加えたり、朱刷り本が試し刷り本に徹して来るのに対し、紅色本は何か雅味が無く中途半端な感じを与える。或いは紅色は、中国ではお目出度い色であれば、何かお目出度いことが有った時に刊行されたような本が、それを記念して紅色で刷り上げたのではなかろうかと愚考しているが、実際の所良く分からないのである。巻を開いて見てみても、決してお世辞にも上品で美しい本等とは、言える代物ではないのである。
ここに提示する紅色本は、光緒25年に集文堂が刊行した重刊本の『春秋釋例』である。

[目次に戻る]