〜偽聚珍版〜

閑話7

 武英殿聚珍版については、既にNO8、聚珍本と袖珍本で述べたが如く、乾隆四十二年のものが原刊原装の木活字本であり、その時使用された活字は、後年武英殿の宿直の衛兵達が暖をとるために全てを燃やし尽くしたと伝えられ、その結果、四十二年本以外は全て、この原刊本に依拠した整版の偽聚珍本に過ぎない。十年に一度ぐらいの間隔で原刊原装本を見かけるが、一般的に市場によく出回る「聚珍版の離れ本」と称するものは、版式が同じであっても殆がこの偽聚珍本である。しかし、この偽聚珍本でさえ最近はとんと見かけなくなってしまった。
 ここに提示する偽聚珍本は、左側が乾隆末年の杭州本「攷古質疑」(版心下部には項家達校とある)であり、右側が同治十三年の江西本「文苑英華辯証」(版心下部には繆晉校とある)である。

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