〜地理書〜

閑話19

 地理書とは、漢籍の四部分類の中で史部地理類に属する書籍を指すが、圖を中心とした地理圖(NO84を参照)とは些か異なり、圖を伴っていてもむしろ文章を中心とした書籍の事であり、その記載内容は、方域・山川・風俗・物産などである。しかも、その書かれている内容と形式に基づき、更に項目が、総志・都会郡県・河渠・辺防・山川・古跡・雑記・遊記・外紀などに細分されている。例えば、総志に属するものに『元和郡縣志』が有り、都会郡県には『嘉定赤城志』、河渠には『浙西水利書』、辺防には『海塘録』、山川には『西湖遊覧志』、古跡には『洛陽名園記』、雑記には『桂林風土記』、遊記には『徐霞客遊記』、外紀には『眞臘風土記』と言う具合である。
 ここに提示する地理書は、宋の張敦頤が撰した『六朝事迹編類』で、雑記に属するものであるが、版本としては、巻頭に道光辛丑正月の日付の沈兆ウン序文を付し、巻末に清の朱緒曾が撰した『附識』一巻を伴い、張問園が重刊したもので、『北京圖書館古籍善本書目』に「十行二十一字、黒口左右雙邊、道光二十年張問園刻本」と記載されているものである。

[目次に戻る]