漢文訓読で重要なこと

本ページは、勉誠社刊『隋書』特集監修者インタビュー(平成29年5月刊行)からの転載である。

漢文訓読で重要なこと

 漢文訓読で一番重要な点、それは「日本語」の能力です。訓読すると言うことは、漢字だけの原文(漢文)の意味を考えて、古典的日本語の文章に置き換えると言う、一種の翻訳作業です。

 因って訓読は、訓読者自身が原文を意味の通った古典的日本語として正確に理解しているか否かが問われることになります。要は「日本語」なのです。

 漢字だけの原文の意味を考え、古典的日本語に置き換えて訓読し、同時に頭では訓読文の現代語訳を考えています。この「口(訓読文)」と「頭(現代語訳)」との瞬時のせめぎ合いの中で、訓読を変えたり逆に現代語訳を変えたりするのが、訓読の妙味でもあります。

 故に「訓読」は、「日本語」に因る奥深い翻訳作業なのです。

     平成二十九年五月                             於黄虎洞

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