臺灣の歴史的概略

〜授業用備忘録〜

本ページは、海外演習事前授業用資料(平成25年6月)からの転載である。

臺灣の歴史的概略

以下に台湾の歴史を簡単に紹介します。

 現在確認されている台湾最初の文化は、旧石器時代晩期の長浜文化(台東県長浜郷の八仙洞遺跡などが代表例)であり、大量の打製石器及び骨角器が発掘されています。新石器時代は、台北県八里郷の大?坑文化及び十三行文化、台北盆地の円山文化及び植物園文化、台東県の卑南文化等が有ります。

 現在、明白に台湾の事を記載した文献は、『元史』の瑠求伝で、それに因れば、澎湖諸島は元代に巡検司が設置され福建省泉州府に隷属し、台湾本島は近域を航行する船舶の一時的な寄港地であり、明代頃は倭寇の根拠地と見なされ、清代になり正式に中国版図に組み入れられたと考えられます。

 17世紀初頭に入り、オランダの東インド会社はまず明朝領有下の澎湖諸島を占領した後、1624年に台湾島の大員(現在の台南市周辺)を中心とした地域を制圧して要塞を築きます。その後、「反清復明」を唱えて清朝に抵抗していた鄭成功の軍勢が、清への反攻の拠点を確保する為に台湾のオランダ東インド会社を攻撃し、1662年に東インド会社を台湾から駆逐して台湾を領有しますが、台湾の漢民族政権による統治は、この鄭成功の政権が史上初めてです。また、この鄭成功の活躍を直ぐさま芝居に仕立てたのが、江戸時代の近松門左衛門の『国姓爺合戦』です。

 その後、清朝が1683年に鄭氏政権を滅ぼして台湾を制圧し、朝廷内での協議によって、最終的には軍事上の観点から領有することを決定し、台湾に1府(台湾)3県(台南、高雄、嘉義)を設置した上で、福建省の統治下に編入しました。

 1894年、日清戦争に敗北した清朝は、下関条約(馬關條約)に基づいて台湾は清朝から大日本帝国に割譲し、これ以降、台湾は大日本帝国の外地として台湾総督府の統治下に置かれる事となります。

 日本統治時代は、タパニ事件に代表される様な反日・抗日運動が確かに起こりますが、同時に、近代的な上下水道を完成させた後藤新平や、烏山頭ダムと用水路を建設した八田與一の活躍等も見られます。

 第二次世界大戦後は、連合国に降伏した日本軍の武装解除のために、蒋介石率いる中華民国・南京国民政府軍が台湾に上陸します。僅か二年間ほどですが、その時設置された行政長官公署の要職は新来の外省人が独占し、更には公署と政府軍の腐敗が激しかった事から、それまで台湾にいた本省人(台湾人)が公署と政府軍に反発し、1947年2月28日に本省人の民衆が蜂起する二・二八事件が起きます。この事件の前後を映画化したのが、侯孝賢監督の「悲情城市」で、その舞台となったのが九分です。

 その後、蒋介石は反共路線の下に戒厳令を敷き、所謂「白色テロ」と称されている、知識分子・不穏分子等々の大々的を弾圧を実行し、一党独裁的強権開発を行い、鉄道の北廻線や蘇奥港開発等十大建設が実施され、台湾経済は軽工業から重工業へ発展していきます。

 1970年代に入ると、従前の国民党(蒋介石)強権的支配に反発した美麗島事件が発生し、その裁判で被告らを弁護した陳水扁、謝長廷らを中心に台湾内で民主化運動が盛んになり蒋親子(蒋介石・蒋経国)の死後、国民党主席についた李登輝(台湾出身所謂本省人)は台湾の民主化を推し進め、1996年には台湾初の総統民選を実施します。

 当時の台湾は、社会的には蒋介石とともに大陸から移住して来た外省人と、それ以前から台湾に住んでいた本省人との対立、さらに本省人内でも福建人と客家人の対立があり、国民党はそれを強引に押さえつけ、普通語教育、中華文化の推奨などを通して台湾の中華化を目指していました。

 また国際的には、アメリカの庇護下で、韓国・日本・フィリピンとともに共産圏封じ込め政策の一端を担っていましたが、ベトナム戦争の行き詰まりから米中が国交を樹立すると、台湾は国連から追放され、日本からも断交されるに至りました。しかしアメリカは自由陣営保持の観点から台湾関係法を制定し台湾防衛を外交テーゼとしています。

 1996年以後、李登輝は永年議員の引退など台湾の民主化政策を推進し、2000年の総統選では民進党の陳水扁が総統に選出され、台湾史上初の政権交代が実現しましたが、陳水扁は台湾の独立路線を採用したため統一派の国民党とたびたび衝突し、政局は混迷を続けました。

 2008年からは、国民党の馬英九が総統に選出され、中国との融和路線で運営されていますが、経済的な中国との繋がりと台湾の独自性と言う、相反する問題の中での台湾運営と言う、難しい統治が求められる状況に有ると言えます。

以上が、簡単な台湾の歴史です。

     平成二十五年六月                             於黄虎洞

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