1. Introduction

英作文で「かわいい女の人」と書く際、かわいい、にあたる単語としてどのようなものが浮かぶであろうか。和英辞典で引くと、prettycutecharminglovelyなどがそれに該当しているようだ。しかし、これらの単語全てが全く同じ意味やニュアンスを持っているだろうか。ネイティヴはこれらの単語をどのように使い分けているのだろうか。

 

2. Hypothesis

前述の4つの単語の意味を英和辞典で調べると以下のような意味であった。

 

Pretty きれいな、かわいらしい、しゃれた、きちんとした

Cute (口語)利口な、気の利いた (米口語)かわいい、わざとらしい

Charming 魅力的な(主に女性の美貌について言及する際用いられる。)

Lovely 美しい、愛らしい(魅力的な女性やきれいなもの自体を指すこともある。)

 

                      (三省堂 DAILY CONCISE English Dictionary による)

 

一口に「かわいい」を形容する単語といっても、上記のような違いが見られた。これらを踏まえて、いくつかの仮説をたてた。

 

@.cute charming はあまり好んで用いられないのではないか。(含みがあるため。)

A.文化などの違いから、イギリス英語(以下、英語)とアメリカ英語(以下、米語)において、用いられる形容詞が異なるのではないだろうか。

B.各形容詞の用法における違いと、英語と米語における差について。

 

以上の点から検証していきたいと思う。

 

3. Method

検索ソフトとしてWordsmith  Ver.3を、分析資料としてLob CorpusBrown Corpusを用いた、

Lob Corpus Brown Corpusの全セクションをWordsmith Ver.3にかけて、KEYWORD部分に以下のように入力し、分析した。

 

・・・・・・_JJ *_NN

 

・・・・・・の部分にprettycutelovelycharmingを入力し、それぞれを検索、分析する。

 

4. Result

 各形容詞の用法を分析すると、以下のようになった。

 

 

 

 

 

 

TOTAL

限定用法

叙述用法

 

PRETTY

82

38

44

 

CUTE

10

0

10

 

CHARMING

48

16

32

 

LOVELY

88

40

48

 

 

 

 

 

 

 

TOTAL

限定用法

叙述用法

 

PRETTY

47

18

29

 

CUTE

3

0

3

 

Charming

32

11

21

 

LOVELY

56

27

29

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

限定用法

叙述用法

TOTAL

 

PRETTY

 

 

 

 

BROWN

38(46%)

4(54%)

82

 

LOB

18(38%)

29(62%)

47

 

CUTE

 

 

 

 

BROWN

0

10

10

 

LOB

0

3

3

 

Charming

 

 

 

 

BROWN

16(33%)

32(67%)

48

 

LOB

11(34%)

21(66%)

32

 

LOVELY

 

 

 

 

BROWN

40(45%)

48(55%)

88

 

LOB

27(38%)

29(62%)

56

 

TOTAL(B)

94(41%)

134(59%)

228

 

TOTAL(L)

56(45%)

82(55%)

138

 

 

 

 

366

 

 

 

 

 

 

 

  一口に「かわいい」を形容する単語といっても、上記のような違いが見られた。

 

5. Discussion

注目したのは、CUTEである。Brown CorpusLob Corpus1,000,000語、合計2,000,000語中、たった13回しか使われていない。PrettyCharmingLovelyと比較して明らかに少ない。しかも限定用法としてのCUTEは存在していなかった。つまり、

 

    CUTE+名詞(A cute girl〜)という使われ方はない。そしてネイティヴは好んでこの語を使わないのだろう。

 

また、両Corpusにおいて、prettycutecharminglovelyの各形容詞の限定用法ならび叙述用法の割合がほぼ同じであった。つまり、

 

    英語、米語間において、用いられる形容詞に意味的な違いやニュアンスはない。

 

表1.でわかるように、使用頻度順で見るとPRETTY129回),LOVELY144回)がほぼ同数、次いでCHARMING80回)、CUTE13回)という結果になった。CHARMINGが意外に多かった。

 

コロケーション別に見ると、女性の名詞(girlwomanladyなど)とくっついている形容詞はPRETTYが一番多かった。A pretty girl〜,A pretty womanといった具合であった。次いで、LovelyCharmingがあがった。先にも述べたように、Cuteに女性名詞はくっつかなかった。

また、Charmingは、男性や、人間以外の動物を形容する際にも用いられていた。

 

6. Conclusion

 

以上の考察から、仮説を検証した結果、

 

仮説@ CuteCharmingは、含みがあるため、あまり好んで用いられないのではないだろうか。

 

Cuteについては仮説通り、Lob Corpus Brown Corpus両方において、ほとんど使われていなかった。(全2,000,000語中)

 

仮説A 文化などの違いから、英語と米語において、用いられる形容詞が異なるのではないか。

 

両コーパスにおいて、各形容詞の使用頻度はほぼ同数であった。よって、英語、米語間における各形容詞の意味的な違いやニュアンスはない。

 

仮説B 各形容詞の用法における違いと、英語と米語における差について。

 

表2.でわかるように、英語、米語間において各形容詞の用いられ方の割合はほぼ一致していた。

 

英語、米語における4つの形容詞の用法に差はない。

 

 

ということがわかった。

 

最終的に、女性を形容する「かわいい」はPRETTYであった。

 

 

7. Reference

  DAILY CONCISE English Dictionary 1997)三省堂

 Wordsmith Ver.3

 

 

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