ギャラリー解説
古陶磁器
官窯(郊壇下)青磁灰青色蔗段圓文洗(南宋時代、AD1127〜1279) |
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高さ3cm、口径9cm、底径7cm 灰青色の青磁釉が厚く全面に施された、総釉の小振りの官窯青磁 洗(底部には焼成時に支柱を立てた、微小の鉄灰色の目跡が五つ 残っている)であるが、釉調が本来の青磁に比べて可成り灰色が 強く、明かに発色が悪過ぎ、釉薬内に深く染み込んだ土臭やかせ も見受けらるれば、恐らく官窯青磁として作られはしたが、失敗作 (青磁の発色及び見込み中央の小さな窯傷)であったため、廃棄さ れていたものであろう。宋官窯青磁の倣品は、今に至るまで作られ 続けてはいるが、概して倣品は全体のフオルムやキャストが甘く、 更に高台の焼けがわざとらしかったり、支柱の目跡が微妙に大きく 白っぽかったりしている。特に最近の物は、発色は良いが焼きが 甘くて音も鈍く、且つ目跡も白色が強く、逆に明・清の倣品は、堅く 焼き締められているが、釉薬や青磁の発色が些か異なる。本品は すっきりとした端正なフオルムに、厚く施した釉薬が堅く焼き締めら れ、叩くと金属的音がし、且つ目跡も極小で一部に黒茶色の認め られる灰色である。発色が悪過ぎて廃棄されたとは雖も、胎土・釉 薬の結晶状況・目跡の様相等からも「南宋官窯」と推測され、薄さ の割には重く、鉄分の多い胎土の様に思えるので、恐らく郊壇下官 窯(杭州烏龍山・・1956年発見)の遺品ではないのかと思われる が如何であろうか。尚、本来の官窯青磁の発色状態については、 陶片(修内司官窯)の、NO、312を参照されたし。 |