〜小型本〜

零話4

 中国で清朝末から民國初期にかけて出版される多数の大衆小説の状況に関しては、既に話2零話3で述べたが、その中でも小説の内容に拘わらず、特に形態の小さいものが存在する。大衆小説であるが故に、携帯の簡便性を求めたが結果に他ならない。表題には「袖珍本」とか「小型本」とか称しているが、その大きさは、概ね縦15cmで横9cmであり、一般的な石印本の大きさより二周り程小さく、豆本よりは大きいと言う形態である。
 ここに提示する四点の小型本は、上段の右が『緑野仙綜』であり、左が『緑牡丹全伝』であり、下段の右が『揚州府』であり、左が『二才子侠義風月伝』である。

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