現地研修報告 インド(1988年度) 1/2

「大東文化」1989年3月15日号より

タージマハルよ、永遠なれ! 「タージマハルよ、永遠なれ!」
ベナレスにて 「ベナレスにて」
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 ほとんどの学生にとって、今回の現地研修が初めての海外渡航であった。しかも研修地は、衣食住など目につく分野のみならず、思考法や感情表現の点で日本と大きく異なるインドであり、学生たちの受けた衝撃は強烈であった。22日間のインド研修旅行を終え、学生たちは今、現地での体験を反趨し始めている。現地で観たものの強烈な印象。人々との会話の内容、喜怒哀楽や感情の動き、これらナマの材料が再び自己の中で混合し、ゆっくりと咀嚼され、消化されてゆく。五体六感をフルに動員し、受けとめるのに精一杯であった日々のできごとが、全体の流れの中に脈絡をもち始め、再構成される。今回の現地研修は、この捉え返しができた時、真の意味で終了する。

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 学生たちはこの3年間に、ヒンディー語、英語を一定程度学習し、南アジアに関するさまざまな科目も履修している。さらに、出発の約一カ月前に行なわれた合宿で、現地研修にかかわる実用的な知識も与えられている。これらの情報量は相当なものである。しかし、百聞は一見に如かず、の喩え通り、己れの目と体験を通しての学習効果は、はるかに強烈であった。

授業風景

「授業風景」

 健康菅理の方法も、体験を通してのみ会得されるもののひとつである。インドの気候、病気、水、食事についての諸注意は事前に与えられていた。しかし、20度にもなる昼夜の気温差、日中の陽光の厳しさなどは、体をさらしてみて初めて実感できる。

 日没後の急速な気温の低下に備え、午後外出の際には必ず厚めの上衣を持参すること、陽光に直接頭部をさらさぬことなどの鉄則を、彼らは自然に身につけていった。また、病気への対処を通して、診断はもちろん専門医にまかせねばならぬのであるが、自分の体を管理する主体は自分自身であるとの確たる自覚が芽生えたようにおもう。
 この経験は、これ以降の海外渡航の際に、必ず役立つであろう。

提携校アラーバーハード農業大学キャンパスにて

「提携校アラーバーハード農業大学キャンパスにて」

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