現地研修報告 インド(1997年度) 1/2

I.今回の現地研修の特徴

1.研修期間の延長
 昨年度までのインド研修は3週間を目処に実施されてきたために、提携校での語学研修期間が短くならざるをえなかった。このため、語学の研修効果も目指す水準よりは低いものとなった。地域研究の学徒にとって現地語の学習およびその学習過程をとおしての地域事情の把握は非常に重要である。もちろん、現地研修は語学のみを学習するために組織されているわけではないが、現地語の学習が研修の核になっているので、本年度はできるだけ長く提携校に滞在できるように、旅程を組み立てた。このため、他都市への旅行期間は前年度より大幅に縮小された。これまでは、各年度の研修計画は引率教員の裁量に任されてきたが、これ以降は本年度のように国際交流委員会が中心となって各地域の旅程と期間を調整するのが望ましい。

2.現地語学習の充実
 昨年度は10回しか組織されなかったヒンディー語の授業を本年度は18回実施してもらうことにした。授業時間数を大幅に増やしたために、例年よりも効果のある語学の研修ができた。1授業は2時間制となっている。本年度は昨年度にならい、朝9時から午後1時まで授業を続けてもらった。途中、10時と11時半にティー・ブレイクを入れた。授業を午前に集中させたのは、午後の時間帯をまとめて自由行動時間にあてるためである。昼食は授業終了後、キャンパス内のゲスト・ハウスの食堂でとった。

3.自由研修期間の設定
 本年度の新しい試みに、自由研修期間の設定がある。昨年度のタイ現地研修でも一週間の自由研修が実施され、大きな教育効果をあげた。今回のインド研修では、11月27日から12月3日までの7日間、学生が自由に行動できるようにした。ただし、いくつかの条件を付した。第1は、自由研修期間の行動計画(旅程、利用交通手段、宿泊予定ホテル)を事前に提出すること。第2に、単独では行動しないこと。かならず複数のメンバーで行動すること。第3に、定期的にデリーで待機する引率教員に電話連絡を入れること。第4に、かならず1回は日本の実家に電話連絡を入れること。

 本年度の参加学生数は6名と数少ないこともあり、全学生が共同で行動することになった。行先はワーラーナシー(ベナレス)の1ヵ所のみ。デリー経由でワーラーナシーに3泊し、全員無事に再びデリーに帰還した。予定していた汽車の切符がなかなかとれず、旅程を確定させるのに随分と時間を要した。交通機関やホテルの手配を自ら行なうことを含め、この自由研修にも一定の教育効果をみとめることができた。

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