インド音楽研究について


 私とインドの関わりは音楽から始まったのだが、音楽を歴史的社会的文脈から切り離して、自立した音響として捉えるだけでは見えてこないものが、あまりにも大きい。その結果、私の関心は、インド音楽が今ある形で成立するに至る歴史的過程を追求する方向へと広がっていった。最初は、音楽に関連する古代の文献を解読することから始めたが、現代における実践との大きな隔たりに気づき、むしろ現代から過去へとさかのぼる方が適切だと考えた。そこで、英領期のインドに焦点を移すことにした。その結果、おぼろげながら見えてきたことは、今日あるようなインド音楽研究は、西洋における音楽学の影響を受けて、英領期に形成されたものであること。その際、古代文献の理論との整合性を追求することが重要な課題であったこと。さらに、そのような課題はナショナリズムの要請でもあったこと。また、ナショナリズムの指導者達の間で、多かれ少なかれ同様の価値観が共有されていたことである。

 現在は、西洋のインド音楽研究とインド人自身の研究との相互関係を綿密に検証し、従来の「伝統」を再編して「インド精神」を表す音楽文化が構築されていく過程を明らかにすることを課題としている

 
 
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