現地研修報告 パキスタン(2009年度) 3/7

3.提携校での現地研修

(1)提携校の受け入れ体制
 提携校のパンジャーブ大学は、パキスタン有数の名門校であり、世界各地からウルドゥー語の研修生や留学生を迎えている。同大学ウルドゥー語学部の国際交流担当が、研修生や留学生の受け入れ窓口として機能している。国際交流課担当のK先生はウルドゥー語文学(とくに、詩)研究の専門家でウルドゥー語の教育者としても有能である。昨年、現代アジア研究所の招聘研究員として来日された折に、本学部で何度かウルドゥー語の授業や南アジア社会についての講義をしてもらった。今回も彼がコーディネーターとして、現地研修に参加した学生に対するウルドゥー語授業や宿舎の手配をしてくれた。彼は過去3回にわたり、コーディネーターをつとめているので、安心して受け入れ準備を託すことができた。

(2)宿舎
 ラホールでの宿舎は今回も新キャンパス内にある大学のエグゼキュティヴ・クラブ(高級ゲストハウス)を使用させてもらった。部屋は大きく清潔で快適に過ごすことができた。男子は3人1部屋になったが、備え付けの2ベッドのほかに追加のマットレスを入れても十分なスペースがあった。大きな冷蔵庫も備えつけられており、便利であった。新キャンパスの出入口には守衛が常駐し、人々や車両の出入りをチェックしていた。また、宿舎にも守衛が常駐しており、安全に過ごすことができた。宿舎にはバスケットボールやテニスコートが隣接しており、キャンパス内に住む教職員の子弟たちとスポーツの交流を楽しむこともできた。
 ラホール滞在中の食事は、基本的に朝、昼、晩と宿舎の料理人につくってもらった。毎日、昼食と夕食のメニューをこちら側から指定して、さまざまなパキスタン料理が食べられるように手配した。 毎年、現地研修隊のために料理をつくっている料理人なので、学生の健康管理と栄養のバランスに配慮し、おいしい料理をつくってくれた。食事代は、食材の費用のみであったので、非常に安価に安全な食事をとることができた。

(3)語学研修
 ウルドゥー語の授業は昨年同様、計40回行うことにした。
 1日4回で10日間にわけて授業を行った。朝8時半から9時半までが1限、9時半から10時半が2限、30分のティー・タイムをはさみ、11時から12時までが3限、そして12時から13時までが4限である。語学授業の総回数と1日4回の時間割は昨年のやりかたに準拠した。2限と3限間に30分のティー・タイムをはさむので、参加学生はそれほど疲労を感じずに1日4回の授業に集中できた。また、担当教員も遅刻することなく授業を進めてくれた。
今回は、事前にコーディネーターをとおして、本学部で作成した基礎ウルドゥー語教材を現地での語学研修授業で使用してもらえるかどうか打診してみたが、残念ながら採用とはならなかった。本学部で作成した基礎ウルドゥー語教材は1回90分授業を想定してつくられているが、現地研修での1コマは60分であるために使いづらかったことがその理由のひとつであった。これまでの現地研修の時と同様に、ウルドゥー語学部の専任教員8名全員が輪番で語学授業を担当したほか、担当教員間での教授方法や教授内容の調整が今回もあまり行われなかった。

(4)学生交流
 
現地学生との交流は、語学の学習とともに、現地研修の大きな柱のひとつをなす。今回の現地研修では、2限と3限の合間のティー・タイムに現地学生(実際には院生)が毎回数名ほどティー・タイムを過ごす学部待合室を訪ね、本学学生との交流が行われた。さらに、後述する現地アシスタントとの交流をとおして、本学学生は交流に対する積極性、学生生活および将来目標についての意識の違いに驚き、多大な刺激を受けることができた。

(5)現地アシスタント
 コーディネーターのK先生に手配してもらい、今回の現地研修ではラホール滞在期間中に提携校の現地大学院生2名(男女各1名)にアシスタントとして働いてもらった。アシスタントには語学授業後の自由行動時間に学生に同行してもらった。彼らの自宅で家族の皆さんと交流させてもらったり、博物館での見学や市場での買い物にも同行してもらったり、旧市街の路地裏を案内してもらったり、学生は貴重な体験をすることができた。本学の学生は当初、アシスタントとあまりうまくコミュニケーションをとることができなかったが、慣れてからは、知っているウルドゥー語や英語の単語を総動員して、意思疎通ができるようになった。アシスタントとの交流は、本学の学生に対する大きな励みや刺激になるほか、アシスタントと自由行動時間をともに過ごすことは、現地での学生の安全を確保する意味でも一定の効果が期待できるので、来年度以降も継続実施するのが好ましい。提携校のコーディネーターも本学学生の現地アシスタントや現地学生との交流にたいへん積極的である。

「現地アシスタントとの交流」

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